コラム
オンラインイベントって?開催の流れや成功のポイントを解説
オンラインイベントって?
オンラインイベントとは、展示場やホール、会議室といったイベントスペースではなく、ITツールを利用してオンライン上で開催されるイベントのことです。イベントの種類によって、参加費が有料のものもあれば、無料のものもあります。新型コロナウイルスの影響により、直接的な接触を避けられるイベント形態として、さまざまな分野で一気に活用が進みました。数人が参加する小規模なものから、数万人が参加する大規模なものまで、多様なイベントがオンラインで実施されています。
オンラインイベントの2つの種類
BtoC向けのオンラインイベント
大きく分けるとオンラインイベントには2種類あります。そのひとつがBtoC、つまり一般消費者向けのイベントです。
代表的なものとしては、音楽フェスやコンサートが挙げられるでしょう。数千から数万人が来場するような大規模なイベントがオンラインで行われています。また、従来劇場で行われてきた演劇やお笑いライブなどでも、オンライン配信が採用され、自宅で観劇するスタイルが定着してきています。ほかにも、セミナー、講座、フィットネスのような学習や自分磨きに関わる催しもオンライン化が進んでいます。
BtoB向けのオンラインイベント
もうひとつがBtoB、つまり企業向けのビジネスイベントです。
代表的なものとしては、見本市や展示会、商談会が挙げられるでしょう。従来であればキャパシティが数万人もある大きな会場に、特定分野の企業が一堂に会して自社商品のPRを行うような大規模な展示会が、コロナ禍の影響によりオンラインで実施されるようになったケースもあります。ほかにも新商品の発表会や株主総会、プロモーションとしてのセミナーやシンポジウムなどが、オンラインで行われています。
オンラインイベントのメリットについて
コストが削減できる
イベントを行う際にかかる費用の中でも大きな比率を占めるのが会場費ですが、オンラインイベントであれば会場費がかかりません。また、会場設営のための人件費や設備費、装飾費も不要になるため、大幅なコスト削減になります。
会場の人数制限がない
実際のイベント会場では、物理的な制約や安全上の理由などで、入場できる人数に上限があります。しかしオンラインイベントであれば、オンライン上の仮想空間に参加者が集うため、人数に制限がありません。参加を希望される方を漏れなくイベントに招くことができます。
集客の幅が広い
リアルイベントであれば、開催場所が決まっているため、遠方の方には時間と手間をかけて足を運んでもらう必要があります。しかし、オンラインイベントであれば、参加される方の通信環境さえ整っていれば、日本はもちろん世界各国から参加することができ、リアルイベントに比べて幅広い集客が期待できます。
天候に左右されない
屋外で行うイベントの場合、台風や雷、大雨などで中止となるリスクがあります。屋内イベントであっても、荒天によって交通機関がストップしてしまったり、参加者のモチベーションが下がってしまったりする可能性もあります。しかし、オンラインイベントにはそういった心配をする必要がありません。
インタラクティブな催しができる
ITツールを使うオンラインイベントであれば、チャットやコメント機能を利用することで、主催者と参加者が容易にコミュニケーションを取ることができます。イベント内での企画として交流会や討論会を設ければ、リアルイベントよりも参加者とのつながりを持ちやすくなります。
参加者のデータを取得しやすい
リアルイベントであれば、どこの誰が参加したのかといったデータを拾うことが難しいケースが多くあります。一方オンラインイベントであれば、申し込み時だけでなく、Web上でのアンケートで参加者の情報を獲得できます。また、参加者の行動履歴をデータとして取得できるツールもあるため、イベント後のデータ分析やアクションに活用できます。
オンラインイベントのデメリットについて
通信トラブルのリスクがある
参加人数が多いイベントであれば、それだけトラフィックも多くなります。負荷がかかればかかるほど、通信トラブルが発生するリスクは高まります。大規模なトラブルになってしまった場合には、システムが復旧できずに、イベントが中止になるケースもあります。ITツールや機材といった配信環境を整備する際には、トラブル防止に努めましょう。
一体感を生み出すのが難しい
会場内の温度や雰囲気、人の動きなどを肌で感じることができるリアルイベントに比べると、オンラインイベントはその場の盛り上がりを感じにくいと言えます。来場者が主体的に取り組める参加型のコンテンツを用意するなど、一体感を醸成できるような体験を提供するための工夫が必要です。
参加者が離脱しやすい
参加費が無料のオンラインイベントであれば、どこからでも気軽に参加できるメリットがある反面、いつでも離脱できてしまうというデメリットもあります。上記の一体感醸成にも関わりますが、魅力的なコンテンツを用意することで、離脱防止に努めましょう。
物理的なアプローチができない
リアルイベントであれば、参加者にパンフレットやノベルティなどを手渡しすることができますが、オンラインイベントではそういった物理的なアプローチができません。オンライン上で資料が取得できるようにしたり、参加者のデータを取得して後日郵送したりするなど、アプローチする方法を工夫しましょう。
オンラインイベントの開催の流れについて
企画立案
イベント運営の主体となるチームや事務局を立ち上げたら、最初にやることはイベントの内容を考えることです。コンセプトを決めて、それに沿うコンテンツを企画していきます。上述したとおり、参加者が離脱しやすいオンラインイベントでは、魅力的なコンテンツを提供し、なるべく滞在してもらえるようにすることが重要です。しかし、魅力を感じるかどうかは個人差があり、チームでディスカッションをしても決定しづらいところがあります。そのため企画立案をする際には、参加者のペルソナ(ユーザー像)を設定すると良いでしょう。設定したペルソナにとって魅力的か否かを基準にすると、チーム内の意見を集約しやすくなります。また、企画会議はブレスト形式にするのがおすすめです。実現可能かどうかや予算などの条件を気にせずに、まずは自由にアイデアを出すことで、より魅力的な企画を生み出すことができます。
出演オファー
企画内容が決まれば、次にその内容に適した出演者を決定し、出演を依頼します。
例えば、商談会や展示会であれば、出展する製品やサービスの営業担当者やマーケティング担当者、新商品発表会であれば、会社の代表や商品企画担当者が出演するのが一般的です。セミナーやシンポジウムであれば、社内の人材だけではなく、専門家や学会の権威、著名人などに依頼すると、コンテンツとしてより充実するほか、集客につながりやすくなります。
進行役に関しては、社内の人材で適任の人がいない場合には、プロの司会者をアサインするのも良いでしょう。
配信環境の構築
オンラインイベントを実施するためには、会場の代わりとなる仮想空間が必要です。小規模なセミナーであれば、ZoomやMicrosoft TeamsのようなWeb会議ツールでも行うことはできますが、展示会のように参加者が自由に動き回れるイベントをオンラインで行う場合には、オンラインイベントのプラットフォームを利用するようにします。どのプラットフォームを利用するかを決める際には、企画内容に適しているかのほかに、サポートがどれだけ充実しているかも確認しておきます。通信トラブルに弱いオンラインイベントでは、配信環境をしっかりと構築しておくことが大切です。社内にITリテラシーの高い人材があまりいないなど、配信環境の構築に不安なところがあれば、サポートを受けながら準備を進めましょう。
関連情報:バーチャルイベントプラットフォーム 6Connex Virtual Event Platform
集客プロモーション
いざイベントを実施しても参加者が少なければ、有料イベントの場合は収益を上げることができません。無料イベントだとしても、その後のビジネスチャンスにつながる可能性が低くなってしまいます。イベントの中身を充実させるだけでなく、集客にも力を入れて取り組みましょう。
手軽にできるものとしては、自社サイトやSNS、メールマガジンを使った告知が挙げられます。そのほかでは、プレスリリースを出したり、イベント内容に関連するメディアに広告出稿を行ったり、事前イベントを実施したりする方法などがあります。ここでも参加者のペルソナが重要です。設定したペルソナに合わせて、どの媒体でどんなプロモーションを行うのが効果的かを検討します。
リハーサル
リアルイベント同様に、オンラインイベントでも本番を想定して、進行担当者と運営スタッフが当日のスケジュールやそれぞれの役割を確認します。特にオンラインイベントの場合、通信関連のチェックがリハーサルの中心になるでしょう。ツールやプラットフォームの設定や操作手順、映像や音声が途切れることはないかなどを確認。また、当日通信トラブルが発生した場合の対処法についてもリハーサルで確認しておくようにします。
本番当日の進行
リハーサルで確認した手順やスケジュールに沿って、イベントを進行します。通信トラブルはいつ発生するかが分かりません。進行を担当するメンバーとは別に、通信状況を常に監視する担当者を決めておくと良いでしょう。
イベント終了後のデータ分析やフォロー
イベント終了後は参加者に対して、アンケートへの協力を依頼します。オンラインイベントでは参加者と直接触れ合うことができないため、満足度を推し量ることが難しいので、アンケートがイベントの成果を知るための大事な手段になります。そのほかにも参加人数や滞在時間、参加者の行動履歴、参加者の連絡先といったデータは、利用したツールやプラットフォームから必ず取得して分析するようにします。アンケートやデータ分析の結果は、自社の事例としてアーカイブし、次にイベントを実施する際に生かしましょう。
また、参加者へのフォローも大切です。参加のお礼を伝えるとともに、興味を持ってもらえそうな資料を送付するなど、コミュニケーションを取ります。無料イベントの場合の多くは、イベント自体はあくまで認知拡大のための施策です。その後の収益につながるアクションを積極的に行いましょう。
オンラインイベントを成功させるポイント
目的の明確化
イベントの企画立案の際には、目的を明確にすることが重要です。面白い企画でも、目的達成につながらなければ意味がありません。無料イベントの多くは、その後のビジネスにつながるきっかけづくりを目的として実施されています。そういった場合でも、誰にアプローチするのか、どんな行動をしてもらうのかなど、目的をより具体的しておきましょう。
目的にあった配信ツールの選定
前項で挙げたとおり、目的を明確にすることは重要ですが、それは配信ツールの選定にも関わってきます。参加者の属性や人数、期待する行動を具体的にしたうえで、数あるオンラインイベント用のツールやプラットフォームの中で、どれが最適かを選ぶようにしましょう。
コンテンツや資料の最適化
オンラインイベントのデメリットとして紹介したとおり、リアルイベントに比べて一体感を生み出すのが難しいため、オンラインイベントならではの体験を提供できるコンテンツを準備しましょう。もちろん、ここでも目的に沿っていることが前提です。物理的なアプローチができないというデメリットへの対策としては、デジタルカタログを用意するほか、動画やVRを活用するという方法があります。
トラブルを想定した準備
通信トラブルは、参加者の離脱や満足度の低下に直結します。選定したツールやプラットフォーム、そのほかの機材のパフォーマンスチェックは入念に行うようにします。それでも通信トラブルが避けられない場合もあるので、もしトラブルが発生した場合の対応方法や窓口を事前に参加者に伝えておくなど、リスク管理を徹底しておきます。
データ取得と分析の徹底
データ取得と分析がしやすい点は、オンラインイベントの大きなメリットです。「イベント終了後のデータ分析やフォロー」の項でも紹介したとおり、必ずデータ分析を行いましょう。例えば、展示会イベントであれば、参加者がどのブースにどのくらいの時間立ち寄ったのか、どういう導線だったのかといったデータは、次のイベントだけではなく、マーケティングにも生かすことができます。
オンラインイベントプラットフォームのユースケース
医療イベント
日立ソリューションズでは、オンラインイベントを実現するためのバーチャルイベントプラットフォームとして「6Connex Virtual Event Platform」(以下、6Connex)の販売および導入支援を行っています。ここからは活用事例として6Connexのユースケースを紹介します。
1つ目のユースケースは、医療セミナーでの活用方法です。医療分野では、各国から医学博士や現場の医師を招待した国際的なイベントが頻繁に開催されています。6Connexであれば、参加者が長距離移動をする必要がなく、旅費や移動時間を大幅に削減することができます。忙しい医療関係者にとっては大きなメリットです。また講習やセミナーといった医療技術向上のためのプログラムを行う際には、インタラクティブなコミュニケーションが重要ですが、6Connexならリアルタイムチャットやビデオ通話が可能です。主催者と参加者だけでなく、参加者同士のコミュニケーションもできるため、交流の幅が広がり、互いの知識を深めることにつながります。
オープンキャンパス
2つ目のユースケースは、教育分野での利用例です。大学のオープンキャンパスの場合、入学志望者は全国各地にいて、実際に現地に足を運ぶのが難しい方もいます。オンラインでオープンキャンパスを実施すれば、地域格差を少しでも解消することにつながります。
そして、6Connexが優れているのは、臨場感のある会場をバーチャルで作成できるところです。オープンキャンパスに参加する方にとって、大学の雰囲気を感じることは大きな目的です。6Connexであれば、豊富なテンプレートが使用できるほか、オリジナルデザインでバーチャル空間を構築することができるため、大学の雰囲気や魅力を伝えやすいというメリットがあります。さらに、さまざまなブースを用意することで、実際にキャンパスを歩き回るのと同じような体験を提供でき、参加者の満足度を高めることができます。
採用活動
3つ目は、リクルートを目的としたユースケースです。各社が個別に行う企業説明会はもちろん、さまざまな企業が参加する合同企業説明会も、6Connexを活用することによってオンラインで実施することができます。合同企業説明会であれば、出展企業は自社のバーチャルブースをデザインすることでブランディングや他社との差別化をすることができ、参加者に自社を強くPRすることができます。
また、こういった企業説明会では、参加者との接点をどれだけ持てるかが重要です。ビデオ通話を利用すれば、参加者は周囲を気にせず個別質問ができるため、リアルイベントよりも密なコミュニケーションができる場合もあります。
さらに、6Connexにはレポート分析機能が備わっているため、出展企業にとっては、その後の採用活動に必要なデータを簡単に取得できるメリットがあります。
まとめ
オンラインイベントは現在、さまざまな分野で定着してきています。今後は、リアルイベントとオンラインイベントを組み合わせたハイブリットイベントも広がっていくと予想されています。上述のとおり、オンラインイベントにはさまざまなメリットがあります。リアルイベントの代わりとしてだけではなく、マーケティング活動の一手法として上手く活用していくことで、ビジネスチャンスを拡大することができるでしょう。
興味のある方は、本コラムで紹介した成功のためのポイントや他社の事例なども参考にしながら、ぜひオンラインイベントを開催してみてください。
連載目次
- 第30回 【おすすめ一挙紹介】オンラインでアイスブレイクを行うメリットや注意点を解説
- 第29回 テレワークが中小企業で進まない理由とは?リスクや対策を徹底解説
- 第28回 テレワークで雑談をする重要性は?注意点や気軽に雑談する方法を紹介
- 第27回 テレワークでの勤怠管理の難しさとは?課題の解決方法や管理のポイントを紹介
- 第26回 オンラインプレゼンは難しい?伝わるプレゼンのコツを徹底解説
- 第25回 リモートアクセスとは一体なに?仕組みや種類、特徴をわかりやすく解説
- 第24回 オンライン展示会・バーチャル展示会のメリット・デメリットを徹底解説!目的別の選び方も紹介
- 第23回 オンラインイベントって?開催の流れや成功のポイントを解説
- 第22回 労働生産性の定義とは?計算方法や向上させる方法まで解説
- 第21回 生産性って?種類から算出方法まで解説!
- 第20回 在宅勤務とテレワークの違いとは?導入のメリットやポイントをご紹介
- 第19回 ワークライフバランスを正しく理解する
- 第18回 女性活躍推進に取り組む企業に求められる対応
- 第17回 モバイルワークとは?在宅勤務との違いや導入のポイントを解説
- 第16回 テレワークで始める働き方改革!メリットやポイント・留意点を解説
- 第15回 働き方改革による残業の変化はどうなる?企業・従業員視点から解説
- 第14回 働き方改革関連法とは?内容や変化ポイントを解説
- 第13回 リモートワークとは?テレワークとの違いやメリット・デメリットを解説
- 第12回 テレワークで生産性は下がるのか?正しく対処して生産性を上げる方法
- 第11回 働き方改革とは?目的や実現に向けての取り組み方法やメリット・問題点も解説
- 第10回 改善されない長時間労働の常態化……業務ルールを徹底するには?
- 第9回 タレントマネジメントで成果を上げるチームづくり
- 第8回 会議のスタイルを見直して活発な議論を促進
- 第7回 AIによる業務サポートが生産性の向上をもたらす
- 第6回 事務作業を自動化!RPAが変える仕事のスタイル
- 第5回 ワークスタイル変革が実現するものとは?
- 第4回 テレワークの課題を解決する「就業管理方法」とは?
- 第3回 テレワークに有効な「コミュニケーション基盤の活用」と「スマートデバイスのセキュリティ管理」
- 第2回 テレワーク環境の整備に使いたい「仮想デスクトップ」
- 第1回 企業と従業員、2つの視点で見る「テレワーク導入のメリット」