本セッションでは、大林組の山下大夢氏が同社のオープンイノベーションの取り組みを紹介しました。大林組は2017年、建設業の生産性や品質の向上をめざし、アメリカのシリコンバレーにオープンイノベーション拠点として「Obayashi SVVL」を設立。スタートアップや研究機関との共同開発や投資を通じて、建設業に向けた革新的なデジタル技術の適用を促すほか、日本市場における製品・サービスの販売・普及も支援しています。インターネットによって多くの産業が生産性を向上させた中で、建設業はその恩恵に与ることができませんでした。その背景を踏まえつつ、業界の課題を解決するプロジェクトが「Obayashi SVVL」から生まれています。
日立ソリューションズの「StructionSite」は、スマートフォンで撮影した写真を、その位置情報を利用して図面とひもづけるシステムで、大林組全社で導入されています。そのほか、重機の自立化や建築設計の支援、品質検査の自動化、自律走行する無人搬送車、ソリューションを組み合わせて提供する新会社など、「Obayashi SVVL」発信のプロジェクトが数多くあります。
建築業には時間外労働時間の上限や、安全・品質管理面、規模による課題感の違いなどによって、破壊的なイノベーションが起こりづらい環境でした。しかし、現場でのスマートフォンやタブレットの普及により、クラウドサービスやチャットの活用も進み始めています。今がまさに日本の建設業界にイノベーションを起こすべきタイミングだと山下氏は強調しました。
山下 大夢氏
株式会社大林組
ビジネスイノベーション推進室