株式会社 日立製作所様 ファイルサーバデータ移行サービスの導入事例やシステム構築例を紹介|システム構築やトータルソリューションをお探しなら、日立ソリューションズにお問い合わせください。

ファイルサーバデータ移行サービスの導入事例

株式会社 日立製作所様

数百万もの大量な重要ファイルを新サーバに移行。綿密な移行プランと独自ツールの活用で作業コストを大幅に削減

安定した環境下での業務ファイル保管のため、定期的なファイルサーバのリプレースは欠かせません。その際に問題になるのが膨大な蓄積ファイルの移行です。膨大な重要ファイルを、業務を止めずに短期間で効率良く、かつミスなく確実に新環境に移行するため、日立製作所が選んだのが「ファイルサーバデータ移行サービス」でした。

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課題
導入後
期間が決まっている中で、数百万件にも及ぶ大量ファイルの移行が困難
丁寧な事前検証で、限られた期間内にすべてのファイルデータを安全に移行
自社で確実なファイルサーバの移行を担保するには、スタッフの工数や旧サーバ保管のためのコストがかかる
移行前後のファイル数などに差異がないか独自ツールで検証。確実な移行を担保でき、トータルコストや工数の削減に貢献

背景と課題

移行が必要な業務ファイルは数百万件。短期間で新ファイルサーバへの確実な移行が課題に

大谷 氏エネルギービジネスユニット スマートトランスフォーメーション推進本部 ビジネスプロセスIT推進部 バリューチェーン 推進グループ グループリーダー主任技師
大谷 紀子 氏

電力、交通、まちづくりなどあらゆる分野で日本のインフラを支える製品を提供している日立製作所。同社の起点となる茨城県日立市には、日々の暮らしを支援するさまざまな製品を生み出す工場やビジネスユニットが集まっています。その一つである日立製作所 エネルギービジネスユニットでは、安定した電力供給を実現する配電システムや、風力発電システムなどの製造に携わっています。

同社が、定期的に行っているファイルサーバのリプレース計画を開始したのは、2017年10月のことです。新しいファイルサーバは、日立製作所 IoT・クラウドサービス事業部で長年販売実績のあるNetApp社製のNAS装置(NetAppFASシリーズ:以下NetApp)を採用しました。既存のファイルサーバからNetAppへの切り替えと併せて、蓄積されている大量のファイルも新環境に移行する必要があります。そこで、エネルギービジネスユニット全社のITをサポートしているITデジタル統括本部と、ファイルをどのように移行するか検討を始めました。

「サーバ製品を開発しているNetApp社はファイル移行サービスの提供も行っています。しかしリプレースのスケジュールを考えると、ファイル移行には限られた期間しか取れず、作業の実施時間やタイミングについて柔軟に対応する必要があり、定型的な移行サービスを利用するのは難しいという問題がありました。また、NetApp社の移行サービスのスコープとITデジタル統括本部のリクエストが合致しないのではという不安もありました」(伊勢亀氏)

ファイルサーバに保管されているファイルは、製品図面用のTIFFファイルや文書PDFなど、ほとんどが通常業務で利用されるものです。そのため、業務影響を最小にして短期間でファイルを移行する必要があります。また、長年事業を営んできた実績があるため、合計すると数テラバイト・数百万ファイルという膨大な量になります。これらの移行について、業務に影響が出ないように移行するには、確実な作業シナリオが必要でした。

同社では10年ほど前のサーバリプレースの時に、自分たちでファイルを移行したことがありました。

「ファイルサーバに格納されたデータは設計図などの非常に重要なデータです。そのため、移行中にファイルが破損・消失していないか、すべてのファイルを確実に移行できたか、作業にも検証にも細心の注意を払いました。それでも実際にすべてのファイルが移行できたのか、確実な担保を得るために大変な苦労をしたのです。こうした経験から、今回は確実かつ効率的なファイル移行を実現するため、専門家に依頼することは必須でした」(大谷氏)

選定と導入

事前の綿密なファイルデータ移行検証で効率的な作業スケジュールを策定

佐藤 氏ITデジタル統括本部 グローバルソリューション戦略本部 ソリューション第一部 第二グループ 主任技師
佐藤 祐司 氏

ファイルサーバのリプレースを前に、こうしたファイル移行の課題を解決するために選択したのが、日立ソリューションズが提供している「ファイルサーバデータ移行サービス」でした。実際にNetAppを扱っているIoT・クラウドサービス事業部のNetApp構築チームとタッグを組んで、ワンストップでサーバのリプレースからファイル移行まで確実にサポート。日立ソリューションズは新旧のファイルサーバ両方の技術知識も豊富なため、「安心して任せられる」という点を大きく評価しました。

「ファイル移行は、全社休暇となる8月中旬の夏休み中までに終え、夏休み明けには新しい環境で業務を進めるスケジュールを組んでいました。それに間に合わせるような移行計画を立てるため、事前検証にはあえて時間を掛けました」(佐藤氏)

検証の最大の目的は、ファイル移行にかかる時間やパフォーマンスを計測し、業務に支障が出ないよう移行の順番とスケジュールを定めることでした。基本方針として、既存のファイルサーバ内のフォルダ配置を変えずにそのまま移行することとし、いくつかサンプリングを取って転送速度やパフォーマンスを確認していきました。

「図面・文書ファイルは種類によりサイズの傾向も異なります。それぞれの傾向を見るため、さまざまなバリエーションのサンプルデータを使って何度も検証し、その結果をベースに転送時間を算出してどのように転送していくかを検証してもらいました」(伊勢亀氏)

こうして6月に検証を行い、現場の業務に影響が出ないよう、小さいサイズのファイルのみ業務時間内に移行し、大容量のファイルは業務時間外・休日に一気に移行するといった、社内ネットワークリソースに配慮した綿密な計画を立てました。

また、新ファイルサーバは最終的に遠隔地とDR(ディザスタリカバリ)構成を組む予定でした。しかし、移行完了後にデータを遠隔地に転送するのでは時間がかかってしまうため、データ移行中はメインサイトにDR用のNetAppを配置。NetApp標準搭載の非同期コピー機能を用いて近距離でデータを同期しておき、データ移行完了後に遠隔地に搬送することで、データ転送時間を短縮するという効率化を行いました。日立ソリューションズとNetApp構築チームが密に連携して、最適な移行方法を検討しました。

成果と今後

すべてのファイルを予定通りにミスなく移行完了。旧ファイルサーバの保管コストも大幅に削減

伊勢亀 氏ITデジタル統括本部 グローバルソリューション戦略本部 ソリューション第一部 第二グループ 技師
伊勢亀 昌男 氏

検証作業から移行計画立案を経て、2018年7月初旬からファイル移行が始まりました。

「時間をかけて検証を行ったため、検証時の見積もり数値通り、計画したスケジュールで順調に移行作業が進んでいきました」(大谷氏)

予定よりも早く7月中には大部分の移行が終わり、8月に入ってからは日常業務で更新された差分を夜間や休日にコピーしました。8月中旬の夏休み直前の数時間だけは、旧サーバのファイル更新を止め、読み取りのみで業務を進め、夜間と休日に差分を新サーバへコピーし、移行作業完了フェーズへと向かいました。

「7月の大量移行中も社内ユーザーに支障は全く出ませんでした。結果として、業務部門は移行作業中だったことを意識する必要がありませんでした」(大谷氏)

夏休み前には差分コピーが終わり、検証ツールでファイル移行が正しく行われたのかをチェックしました。

「移行したファイル数はすべて旧サーバと合致。移行したファイルの件数チェック、容量チェックでは特に問題はありませんでした。無事に作業が完了できたのは、日立ソリューションズが持つ検証ノウハウのおかげです」(伊勢亀氏)

業務で使用しているファイルはすべてミスなく、一つの漏れもなく、無事に移行作業が完了。その翌日、業務システムから新ファイルシステムへのアクセスを試験的に行ったところ、問題なく使用できました。ファイルサーバのリプレースを終えて半年、業務部門から「ファイルが見当たらない」などの質問やクレームは全くありません。

「日立ソリューションズに確実なファイル移行を担保してもらったため、旧サーバはリプレースして1カ月後に廃棄しました。通常、問題があった時のため、状況に応じて1カ月以上保管する場合もありますが、今回はその心配がなかったため旧サーバを廃棄できました。『ファイルサーバデータ移行サービス』のおかげで、余計な維持費をかけずに済みました」(大谷氏)

「極論をいえば、ファイルの移行は自社でできます。しかし、ファイルの確実な移行を担保するには、その分、内部のスタッフに大きな負荷がかかります。今回の場合、ファイルデータの移行は安心して日立ソリューションズに任せられたので、新サーバ移行に伴う業務システムのチェックなど、他の分野に注力できました。この点もハードの維持費と同じく、トータルコストの削減や工数低減につながったと思います」(佐藤氏)

日立ソリューションズは、今後クラウドサービスの活用も視野に入れ、安心で安全なファイルの利活用を提案していきます。

株式会社 日立製作所

同社は、AI(人工知能)やビッグデータ分析といったデジタル技術(IT)に加えて、制御・運用技術(OT:Operational Technology)やプロダクトを有する、世界でもユニークな企業。この強みを最大限に生かし、より付加価値の高い社会インフラをはじめとするデジタルソリューションをグローバルに提供することで、社会課題を解決している。

本社所在地 東京都千代田区丸の内一丁目6番6号 株式会社 日立製作所
設立 1920年2月1日
従業員数 33,490人(2019年3月末日現在)
事業内容 電力システム、交通システム、ヘルスケア、生産体制・品質保証、環境活動、文体活動、研究開発、変電システム訓練校、予防保全活動、産業公共システム、変電所システム
URL https://www.hitachi.co.jp/

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本事例の内容は2019年6月4日公開当時のものです。

最終更新日:2019年6月4日